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たたない塔|Erectile Dysfunction

システム・エンジニアリング:稲福 孝信(HAUS Inc.)

作品は「伸縮する塔」、「反転した塔」、「浮遊する塔」の3つの大きな「たたない塔」による運動によって構成される。英題は《Erectile Dysfunction》=ED、つまり勃起不全、インポテンツのことである。本来の塔として機能不全なので、「役に(たたない)」と付け加えてもいいかもしれない。
和人による北海道開拓は、アメリカ合衆国成立の経緯に擬えて語られることがある。実際に当時、合衆国建国後に南北戦争を経験した米人が招聘され、彼らはより合理的な同化政策のノウハウを和人に指南したと考えられる。アメリカではインディアンと呼ばれる先住民、北海道ではアイヌ民族。どちらも開拓という建前の元、懐柔され、結果的に在り処を追いやられている。建造に至ったプロセスや理由はどうあれ、蹂躙した側は、天高く伸びる巨大な塔を記念碑として建立している。米人も和人も、「未開の地を開拓する」と謳っているぐらいなので、そこには疑いの余地もなく彼らなりの正義があり、人類の進歩史観や「フロンティア精神」なんていう言葉で、自らの行いを正当化していたと想像する。
この進歩主義的精神は、私が制作の軸にしているテクノロジーと非常に相性が良く、合理化の果てに気付けば他者を制圧し、排除する結果になることが多い。現行の社会システムである資本主義がそれである。そこで、テクノロジーを使いつつも徹底的に、失敗や冗長性、不合理さや役に立たなさを価値として作品で提示し、希望を語ることが必要な気がしている。人間性を失わないためのプラクティスとして。

System Engineering: Takanobu Inafuku












撮影:リョウイチ・カワジリ
写真提供:札幌文化芸術交流センター SCARTS
Photo: RYOICHI KAWAJIRI
Photo courtesy: Sapporo Cultural Arts Community Center SCARTS


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